コンセプト

AIが売り上げを予測するこの時代に、筆と絵の具という有史以前と変わらぬアナログな手法からもの造りを始める必要性とは何だろう?不要なほどモノが溢れるこの時代に、あえてプロダクトを作り出そうとするモチベーションは何か?

このプロジェクトを始めるにあたって本質的な自問がいくつかありましたが、自分の生み出すものが、誰かの毎日の人生を楽しくしたり、周りの人をもポジティブにさせるような存在となればいいなという思いが原動力となっています。十数年来、油絵を続ける中で絵画が壁にかけるだけでなく、もっとダイレクトに人の生活に介在するアイテムになればいいなという思いをどこかしら抱いてきました。20歳の頃に開いた友人との展覧会で、私の絵を見た母の「この絵がワンピースになったら着てみたいわ」という一言がぼんやりとどこか頭の片隅にひかかっていたからかもしれません。

そして今回、さまざまな方面の協力を得て、構想を具現化する服づくりがスタートしました。どのように生産するかを模索していたある日、アルジェリア出身の知人との会話の中で、アルジェリアを取り巻く課題ー一般的に男女が等しい労働水準で働くことにはいまだにハードルがあるーという現状を知りました。そこには大きくは宗教的背景があるわけですが、自分で選ぶことのできない、たまたま生まれた国のルールとたまたま生まれ持った性別によって、取り払うことのできない制限があるとすれば、なんとかできないものだろうか。その時ふと、そういった社会環境に対してのアクションとしてアルジェリアの女性と一緒に服作りができないだろうか?と思い立ちました。適切な労働条件下で経営されていて、且つ単に縫製を依頼するだけでなく、全く違う文化や美意識を持ち、人生を生きてきた者同士の共同制作に関心を持って引く受けてくれる人はいないだろうか・・そうしたパートナー探しの末に、アルジェリアにある小さな服飾アトリエと協働する事に至ったのです。お互いに初めての事で、物理的な距離もある中で何度もやりとりを繰り返しました。そしてパリ、京都、そしてアルジェにまたがり、試行錯誤をしながらオリジナルテキスタイルによる最初のアイテムが誕生しました。また今回をきっかけにアルジェリアを来訪した際、副次的にアルジェリア北部・カビール地方の文化との出会いを得ることができました。カビル語という独自の言語を持ち、独自のデザインの服飾、陶器、革製品、アクセサリーなどを古くからの伝統工芸を現在も続けている彼らの創造性には感銘を受けます。そういった側面にも学びを得ながら、新しい価値あるものづくりを共に進めていきたいと思います。コンセプトとして、流行り廃りに惑わされない普遍性のあるデザイン、そしてサスティナブルな生産方式の探求を軸に活動していく予定です。

私たちのパートナーについて

TOÏROの由来

それぞれの個性を尊ぶという意味合いで、ことわざ十人十色からとっています(ïはフランス語でトイロと発音するための発音記号)。またアラビア語で同音のطار = 飛ぶ、空に舞うの意を持つことから、自由に羽ばたく、の意味をかけてTOÏROと名付けました。

代表・クリエイター 

川波朋子  1986年日本生まれ。2009年京都市立芸術大学美術学部卒業。会社員を経て2016年~フランス在住。TOÏROテキスタイルと商品デザインを手がける。